「オロナインなどの市販軟膏を塗り続ければ小さくなるのではないか」という疑問を抱く方は後を絶ちません。しかし、日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび臨床知見が示す通り、粉瘤が自然治癒したり外用薬で消滅したりすることは構造上不可能です。
粉瘤の本態は、何らかの理由で皮膚の内側にできた表皮の袋(嚢腫壁=カプセル)です。この袋の内側からは日々、垢(角質)や皮脂が分泌され続けます。本来は体外へ剥がれ落ちるべき代謝物が袋の中に密閉されて蓄積していくため、時間の経過とともに徐々に肥大化していきます。市販の殺菌消毒薬やニキビ治療薬は皮膚表面の雑菌を抑える作用しか持たず、皮下深くに存在する袋そのものを溶かして消失させる効果はありません。
また、粉瘤を強く圧迫した際に特有の強い悪臭(腐敗臭や古いチーズのような臭い)が立ち込めるのは、袋の中に何ヶ月・何年もかけて閉じ込められた角質や皮脂が酸化し、常在菌によって分解・腐敗しているためです。この老廃物の製造工場である「袋」を取り除かない限り、一時的に中身が出たとしても再び老廃物が充填され、再発を繰り返します。