全焼の悲痛な悲劇から、金閣寺はいかにして現代の黄金の姿を取り戻したのでしょうか。事件直後から全国から復興を望む声と寄付が集まり、昭和30年(1955年)に明治時代の修理図面を基にして忠実に再建されました。
しかし、再建当初の金箔は薄く、京都の厳しい風雨や紫外線によって約10年で剥落が進み、下地の漆が露出して黒ずんでしまいました。そこで1986年(昭和61年)から1987年(昭和62年)にかけて実施されたのが、伝説的な「昭和の大修復」です。
この大修復では、通常使われる金箔の約5倍の厚みを持つ「五倍箔」を採用。石川県金沢市の熟練職人が手掛けた金箔約20万枚(総重量約20kg)が二層・三層の外壁全面に貼り直されました。下地には最高級の国産漆が何重にも塗り重ねられ、総工費は当時の金額で約7億4000万円に達しました。
さらに2020年(令和2年)秋には、約18年ぶりとなる「こけら葺き」屋根の全面葺き替えと鳳凰の金箔補修が完了。現在私たちが目にする金閣寺は、創建当時の足利義満が見たであろう壮麗な輝きを極限まで再現した姿です。
こうした歴史的景観の復元と、日本の中世禅宗文化・庭園芸術の到達点としての価値が高く評価され、1994年(平成6年)にユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として正式登録されました。