この前代未聞のプロジェクトを牽引したのは、当時のJR九州を率いていた唐池恒二氏の強烈なリーダーシップだった。採算性を度外視した情熱と「九州の魅力を世界へ届ける」という揺るぎない覚悟が、前例のない豪華寝台列車の構想を現実のものへと押し上げた。
そのビジョンを具現化したのが、希代のデザイナー・水戸岡鋭治氏だ。車両の隅々にまで張り巡らされた組子細工、選び抜かれた木材、陶磁器の洗面鉢に至るまで、職人技の結晶が惜しみなく注ぎ込まれている。匠の技が息づく空間は、単なるラグジュアリーを超え、乗客をどこか懐かしく温かな日本情緒の深淵へと誘う。