名曲ゆえにネット上ではさまざまな噂や憶測が飛び交っていますが、音楽専門メディアの視点から検証すると、一般に広まっている認識にはいくつかの誤解が含まれています。
1つ目の誤解は、「歌詞に登場するマドンナには実在のモデルがおり、後にその女性と交際・結婚した」というロマンチックな都市伝説です。前述の通り、この歌詞は資生堂のCMコンセプトに合わせて構築されたフィクションがベースであり、斉藤和義自身は1990年代に一般女性と結婚しています。高校時代(栃木県の作新学院高等部時代)の空気感は反映されているものの、特定の1人の女性への未練を歌った私小説ではありません。
2つ目の誤解は、「替え歌の『ずっとウソだった』が後にCDとして公式発売された」という情報です。当時、チャリティー配信などを望む声も多く上がりましたが、所属レコード会社や事務所から公式音源としてリリースされた事実は一切ありません。あくまであの震災直後の緊迫した空気の中で放たれた、一回性のライブパフォーマンスとしての価値を持っています。
3つ目の盲点は、コード進行とギター弾き語りの難易度に関するギャップです。楽器店やコード譜サイトでは「初心者向けの簡単弾き語り曲」として紹介されることが多く、実際に使用されている基本コードはG、Bm(またはB7)、C、D7、Emといったローコード中心のシンプルな構成です。しかし、いざ自分で弾いてみると「原曲のようなカッコいいロック感が出ない」と悩むプレイヤーが続出します。実は原曲のイントロやAメロのバッキングには、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズを彷彿とさせるオープンGチューニング風の複音リフ(ダブルストップ)と、絶妙な休符(ミュート)を交えた跳ねるようなリズムが組み込まれています。ただコードをジャカジャカと掻き鳴らすだけでは、あの独特のドライブ感は再現できないという奥深さがあるのです。