ヒット作を連発するメガパブリッシャーの戦略も先鋭化している。KADOKAWAや講談社といった大手出版社では、ターゲット層の購買心理を徹底的に分析したデザインラインを構築している。特にライトノベル市場を牽引するKADOKAWAは、キャラクターの表情やポージングひとつで読者の期待感をコントロールする知見を豊富に蓄積している。表紙のキャラクターが読者と目を合わせているか、あるいは視線の先になにがあるのかといった心理的アプローチが精巧に組み込まれている。
一方、講談社をはじめとする文芸・実用書のジャンルでは、ジャンルの垣根を越えたイラストの採用が目立つ。一見すると難解なビジネス書や学術書にあえて親しみやすい絵柄を採用することで、ライト層の心理的ハードルを下げる試みだ。ターゲットの年齢層やクラスタに応じ、色彩調和やタッチを細かく使い分ける戦略は、出版業界全体のデザインレベルを底上げしている。