なぜ日本の警察無線はこれほどまでに堅牢で、一切受信することができないのでしょうか。その最大の理由は、警察庁が世界に先駆けて導入・高度化を進めてきた独自規格のデジタル暗号化システムにあります。
かつてのアナログ無線時代、警察の追跡や取り締まり情報が暴力団や犯罪グループ、一部の無線マニアに傍受される事案が相次ぎました。これを重く見た警察庁は、1980年代から通信の全面デジタル化に着手。現在運用されている移動警察通信システム(APRIS)や統合通信基盤「ポリス・ワイドエリア・ネットワーク(PWAN)」では、極めて強固な共通鍵暗号方式や動的スクランブル処理が適用されています。
警察無線の周波数帯(主に150MHz帯、350MHz帯、400MHz帯など)自体は電波として空間を飛んでいますが、電波を受信機でキャッチできたとしても、出力されるのは耳障りなデジタル変調音(「ザー」「ギルギル」というノイズ)だけです。暗号鍵を持たない外部の第三者が、この通信を平文の音声へ復号することは現代の計算能力をもってしても不可能です。