かつてメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)のアニメーション部門で誕生した『トムとジェリー』は、アカデミー賞短編アニメ賞を幾度も受賞し、世界のアニメーション産業における最高峰の指標となった。実写映画顔負けのフルオーケストラ伴奏とフルアニメーションによる贅沢な画面作りは、今や再現不可能とも言われる職人技の結晶である。
その後、権利はワーナー・ブラザースへと引き継がれ、リブートや長編映画、デジタル修復版の制作など、時代に合わせたアップデートが続けられてきた。しかし、どのような変遷を辿ろうとも、初期ハンナ=バーベラ期に制作された魚回のアナログな躍動感と毒気を含んだユーモアは、現在もクリエイターたちに多大なインスピレーションを与え続けている。