「優勝という二文字を口にするだけなら誰でもできる。重要なのは、日常の1メートル、1秒へのこだわりを全員で共有できているかどうかです」
名将・前田康弘監督は、真剣な眼差しでそう切り出した。2026年シーズンを迎えた國學院大學陸上競技部の練習拠点には、これまで以上に研ぎ澄まされた緊張感と明るさが同居している。長年チームを率いるなかで監督が構築したのは、情熱的でありながら極めて合理的、かつ再現性の高い指導法だ。
従来のスパルタ式指導とは一線を画す。選手一人ひとりのフィジカルデータや走行フォームを数値化し、コンディションに応じた最適なメニューを個別提示。同時に、毎日の対話を通じてメンタル面の微細な変化も見逃さない。箱根駅伝悲願の初優勝に向けた育成の裏側には、科学的な裏付けと血の通った「情熱」の絶妙なバランスが存在している。独占取材に対して監督が見せた自信の表情は、チームの進化が確かな段階に入ったことを物語っていた。