王馬小吉を語る上で最も多い誤解は、「物語を壊す愉快犯の悪役」という短絡的なレッテル貼りです。しかし作中の証拠を精査すると、彼の本質はまったく異なる輪郭を見せます。
作中の私室や終盤の動機ビデオで明かされる彼の組織『DICE』は、凶悪犯罪集団などではなく、「笑える悪戯」をモットーにした愉快な義賊的集団でした。何より特筆すべきは、「殺人だけは絶対に犯さない」という厳格なポリシーを掲げていた点です。
退屈な世界を嫌い、悪戯を愛するただの少年が、極限のコロシアイ空間に放り込まれたとき、彼が選んだのは「悪役に徹して黒幕を欺き、ゲームそのものを破綻させる」という究極の単独闘争でした。弱みを見せれば殺される環境下で、虚勢を張り、嘘で武装し続けた王馬小吉。その孤独な戦いを知った瞬間、彼の見せる「子供っぽい悪戯」や「可愛い嘘」は、切なくも痛烈な輝きを放ち始めます。