国のかたちを規定する日本国憲法には、国民の権利を守るための規定が数多く並ぶ一方で、国民に課されている義務は極めて限定的です。憲法が定める「国民の三大義務」は以下の3つしかありません。
1つ目は「子どもに普通教育を受けさせる義務(第26条第2項)」です。ここで注意すべきは、「子ども自身に勉強する義務がある」のではなく、「大人が子どもに教育を受ける機会を保障する義務」であるという点です。子どもの学ぶ権利を守るための義務として設計されています。
2つ目は「勤労の義務(第27条第1項)」です。これは同時に「勤労の権利」としても明記されており、働く意志と能力がある人が社会で自立して生きることを前提としています(病気等で働けない人を処罰する強制力はありません)。
3つ目は「納税の義務(第30条)」です。道路や警察、医療、福祉といった公共サービスを維持し、すべての人の安心な暮らしを支える費用を公平に分担するための実効的な義務です。
このように、憲法上の三大義務は国民を縛り付けるためのものではなく、社会全体の基本的人権の尊重を維持・継続するための基盤として位置づけられています。