結論から述べると、井上尚弥と中谷潤人の対戦において地上波放送の有無を巡る議論は、すでに商業的な観点から「地上波生中継はあり得ない」という見方が関係者の間では一致しています。最大の理由は、両雄に支払われる破格のファイトマネーと興行全体の制作費です。現代のボクシングメガファイトは、広告収入モデルに依存する従来の民放テレビ局の予算規模(ゴールデン帯の特番制作費でも数千万円規模)では到底賄いきれません。
プラットフォームの選定において、現在激しい火花を散らしているのがAmazonプライムビデオ生中継を手掛けるアマゾンジャパンと、Lemino独占配信で井上尚弥のキャリアを支えてきたNTTドコモ陣営です。
中谷潤人は帝拳プロモーションの看板選手として「Prime Video Boxing」のメインストリームで実績を積み上げてきました。一方の大橋プロモーションに所属する井上尚弥は、ドコモの動画配信サービス「Lemino」の立ち上げから現在に至るまで、巨額の独占契約を結び同サービスの象徴的存在となってきました。双方が異なるメガプラットフォームと深いアライアンスを組んでいる構図こそが、ファンの間で「どちらで配信されるのか」という激しい議論を生んでいる根源です。
業界内部の動向に詳しい関係筋によると、有力視されているシナリオは以下の2パターンに集約されます。
1つ目は、海外市場を含めた莫大なグローバル放映権料を一括拠出できるプライムビデオが主幹となり、国内の月額プライム会員(月額600円または年額5,900円)向けに見放題独占生中継を行うケース。2つ目は、両陣営の顔を立てる形で「Leminoプレミアム」と「Amazonプライムビデオ」による歴史的な国内ダブル独占配信、あるいは独立したPPVチケット購入方法を設定し、各プラットフォームでPPV販売を行う形式です。
いずれにせよ、スマートフォン、タブレット、スマートテレビ(Fire TV Stick等)を活用したインターネットストリーミング環境の準備が必須となります。試合後の見逃し無料配信については、これまでの慣例通りであれば配信開始から約2週間〜1ヶ月程度の期間限定アーカイブが用意される見通しです。