検索エンジンやSNSのショート動画などで散見される最大の誤解が、「緑色のおりものはドラッグストアの市販薬で治せる」という言説です。結論から申し上げますと、緑色のおりものは市販薬では治りません。
一般の薬局で購入できるデリケートゾーン関連の医薬品は、主に「膣カンジダの再発治療薬」か、外陰部の接触皮膚炎を鎮める「非ステロイド性・ステロイド性のかゆみ止め軟膏」に限られています。膣カンジダの原因は真菌(カビの一種)であり、その分泌物は「白くポロポロとした酒粕・カッテージチーズ状」になるのが特徴です。緑色のおりものを引き起こすトリコモナス原虫やクラミジア、一般細菌に対してカンジダ治療用の抗真菌薬を使用しても、治療効果が一切期待できないばかりか、膣粘膜をさらに刺激して炎症を悪化させるリスクすら生じます。
また、かゆみ止めの外用クリームを塗ることで表面的なムズムズ感が一時的に麻痺し、「治りかけている」と錯覚して受診を遅らせてしまうケースが極めて危険です。膣の奥深くにある子宮頸管部で繁殖している病原体は、表面に軟膏を塗布したところで根絶できません。原因微生物を特定し、それに応じた適切な抗原虫薬(メトロニダゾールなど)や抗菌薬の内服・膣錠投与を行わなければ、根本治療は不可能なのです。