日本人受賞者への授与式は、多くの場合、東京・南麻布にある在日フランス大使館で行われる。大使公邸の静謐な空気の中、駐日フランス大使が大統領の代理として胸元に章を留め、「フランス共和国大統領の名において……」と定型の受勲宣告を告げる瞬間は、日仏両国の歴史が交わる濃密なドラマに満ちている。
対象は映画監督や芸術家にとどまらない。日本とフランスの架け橋となった学者、外交官、経済人、さらには食文化を極めたシェフに至るまで多岐にわたる。美食の都パリで修行を積み、ガストロノミーの新たな地平を切り拓いた料理人たちも、文化外交の担い手として高く評価されてきた。
東京の式典で交わされる祝杯は、一人の功績を讃えるだけのものではない。極東の島国と欧州の文化大国が、互いの精神性を深く尊重し合ってきた証拠でもある。