ネット上のレシピ情報を見ていると、「寿司にはさっぱりした酢の物を合わせるのが正解」という記述を頻繁に見かけます。しかし、調理科学や味覚設計の観点から見ると、これは注意が必要な盲点です。
寿司飯(シャリ)自体に酢、塩、砂糖がしっかり効いているため、ここに強い酸味を持つ酢の物を重ねると「酸味の過剰(酸味被り)」が起きてしまいます。舌が疲労し、せっかくの新鮮な刺身の繊細な甘みを感じにくくなってしまうのです。
寿司に合うサラダ・酢の物を取り入れる場合は、酸味を立たせるのではなく、ごま油を効かせたチョレギ風サラダや、マヨネーズベースのポテトサラダ、あるいは塩もみきゅうりとタコの和え物など、「まろやかさ」や「油脂のコク」をプラスした調味を意識するのがプロのテクニックです。
また、塩分過多にも注意が必要です。寿司は醤油をつけて食べるため、おかずまで醤油ベースの濃い味付けにしてしまうと、1食あたりの食塩相当量が跳ね上がります。汁物は出汁の旨味を前面に出し、減塩を意識した澄まし汁仕立てにするのが賢明です。