2度の離婚を経て、子供を持たずに生きてきた有馬稲子さんは、2007年(当時75歳)の時に人生最大の決断を下します。長年暮らした都内の広大な自宅や別荘、膨大な思い出の品々を潔く処分し、神奈川県横浜市郊外にある中高年向けのケア付き分譲マンション(シニアレジデンス)へと生活拠点を移したのです。
このシニア住宅は、自立した生活が送れる住環境でありながら、24時間の医療・看護体制や食事サービス、コンシェルジュ機能が完備された施設です。現在90代を迎えた有馬さんは、同施設内で規則正しい生活を送りながら、読書や執筆、時には舞台鑑賞へと足を運ぶなど、穏やかで品格ある毎日を過ごしています。
「人に頼らず、自分の老後は自分で責任を持つ」という有馬さんの終活スタイルは、高齢化が進む日本社会において「おひとりさまシニアの究極のお手本」としてメディアでも度々特集されています。孤独を恐れるのではなく、自立した空間とコミュニティの安心感を両立させる住まい選びは、現代のシニア世代にとって極めて示唆に富む選択と言えます。