御苑の四季は足が速い。春の口火を切るのは、北西に位置する近衛邸跡の糸桜だ。まるで滝のように流れ落ちるしだれ桜の薄紅色は、京都のどの桜よりも早く春の訪れを告げる。ソメイヨシノ、出水の小川のサトザクラと続き、初夏には新緑のトンネル、秋にはイチョウの黄金色とモミジの深紅が苑内を染め上げる。
美しい瞬間を独り占めするなら、狙い目は間違いなく午前7時から8時半の朝一番だ。東山から昇る朝日が斜めに木々の間を差し込み、地面の緑を鮮やかに照らし出す光景は息をのむほど美しい。昼間の賑わいが始まる前のこの時間帯なら、カメラのファインダーに他人の姿が入り込むこともほとんどない。