館内に一歩足を踏み入れると、そこはニューヨークの熱気がそのまま移転してきたかのような錯覚に陥る。ヤンキースタジアムのロッカールームを模したコーナーや、実際に使用されたユニフォームの数々は、見る者を圧倒する。特に2009年のワールドシリーズでMVPを獲得した際のチャンピオンリングは、鈍い輝きを放ちながら当時の興奮を今に伝えている。
展示の魅力は、きらびやかな栄光だけではない。松井氏が挫折や怪我とどのように向き合ってきたか、その内面に迫る資料も豊富だ。彼が残した言葉の数々は、壁に掲げられ、訪れる人々の胸を打つ。寡黙に、しかし誰よりも熱く野球と向き合った「背番号55」の人間味が、展示の端々から滲み出ている。