家庭で唐揚げを作る際、多くの人が陥りがちな罠が「長く漬け込むほど美味しくなる」という誤解です。醤油や塩分濃度の高いタレに何時間も漬け置くと、浸透圧の作用によって肉の内部から貴重な水分がどんどん外へ流出してしまいます。これが、揚げ上がりがパサついて硬くなる最大の原因です。
肉のジューシーさを保つための理想的な漬け込み時間は15分から20分程度で十分です。短時間でしっかり味を染み込ませるには、フォークでお肉全体に数カ所穴を開け、調味料を揉み込む際に少量の酒やマヨネーズ、あるいは炭酸水を加える手法が極めて効果的です。脂質やアミノ酸が筋繊維の隙間に入り込み、加熱によるタンパク質の収縮を防いでくれます。
特にヘルシー志向で人気の鶏胸肉を柔らかく仕上げたい場合は、繊維を断ち切るようにそぎ切りにした上で、砂糖と塩を溶かしたブライン液(または少量の重曹水)に10分ほど浸すひと手間を加えるだけで、もも肉に匹敵する驚くほどのしっとり感が手に入ります。