業界の重鎮が集う日本洋菓子協会の内部からも、驚嘆と称賛の声が漏れ聞こえる。これまでの常識では、美しいプティ・ガトーを作るためには保形性を高めるゼラチンや糖分の使用が不可欠とされてきた。
だが、同店が打ち出したのは水分保持の物理構造を根本から見直すアプローチだ。限界までゲル化剤を減らし、素材本来の水分と油分の乳化だけで立ち上がる繊細な口溶け。フォークを入れた瞬間に崩れ落ちそうな儚さと、舌の上で一瞬にして消え去る軽やかさを両立させた。
洋菓子・製菓業界の若手職人たちにとって、この技術的ブレイクスルーは衝撃以外の何物でもない。各地の講習会では、その革新的な技法を一目見ようと立ち見が出るほどの騒ぎとなっている。