呼吸器症状で救急搬送された飼い主の手記やSNS上の体験談を分析すると、共通する痛烈な後悔のパターンが浮かび上がってきます。
「夜間に喉をゴロゴロ鳴らしてお腹を動かしていたので甘えているのだと思っていたら、朝方には口を開けて倒れていた」「昨日まで普通にご飯を食べていたのに、急にお腹をペコペコさせて動かなくなった」という生々しい告白は枚挙にいとまがありません。猫は野生時代の名残から、捕食者に狙われないよう弱みを隠す習性(本能的隠蔽行動)が極めて強固です。痛みや苦しみを感じていてもじっと耐え忍び、限界を超えて初めて外見上の異常としてお腹の激しい動きや開口呼吸が現れます。
二次診療施設や救命救急センターの獣医師が指摘するのは、「異変に気づいてから受診までのタイムラグ」が予後を決定づけるという冷厳な事実です。肺水腫や胸水は、発症から治療開始までの時間が数時間遅れるだけで致死率が跳ね上がります。飼い主が「明日の朝まで様子を見よう」と判断を先送りした結果、病院に到着した時点では心肺停止状態だったという悲劇は、決して珍しい話ではありません。