結論から言えば、枝毛を自らの手で引き裂く行為は、ヘアケアにおいて最も避けるべきタブーの一つだ。毛髪科学の進展によって、髪の毛の微細構造が高解像度で可視化されるようになった結果、引き裂かれた毛先が受けるダメージの凄まじさが明らかになってきた。
髪の表面を瓦状に覆い、内部の水分やタンパク質を保護しているキューティクル。通常であれば、毛先に向かって規則正しく密着しているこの保護膜が、無理やり引き裂かれることで広範囲にわたって剥離し、ギザギザの無残な断面を晒すことになる。ハサミによる切断とは異なり、引き裂く力は髪の繊維に対して垂直ではなく縦方向に加わるため、裂け目は数センチメートル上方の健康な領域にまで瞬時に達してしまう。
一度失われたキューティクルは二度と自己再生しない。裂いた瞬間は手触りが一時的に平滑になったように錯覚するかもしれないが、実際にはバリア機能を完全に失い、外気乾燥や摩擦に対して無防備な状態を自ら作り出しているに過ぎないのだ。