近年、インターネット上で「長谷川式 問診票 ダウンロード」「認知症 テスト 自宅」といったキーワード検索が急増しています。「親が病院で低い点数を取ってショックを受けないように」「要介護認定や免許更新の前にあらかじめ予習させたい」という家族の心理から、自宅でテスト項目を練習させるケースが後を絶ちません。
しかし、老年精神医学の専門家や現場の医師は、この行為に「極めて危険な逆効果」であると警鐘を鳴らしています。
事前に「桜・猫・電車」などの単語を暗記させたり、野菜の名前を練習させたりすると、検査上の数値は一時的に25点前後に跳ね上がります。その結果、本来であれば早期発見・早期治療が可能だった初期アルツハイマー病やMCIが「正常」と判定され、見逃されてしまうのです。
2026年代以降、レカネマブやドナネマブといった「病気の進行そのものを遅らせる抗アミロイドβ抗体薬」が臨床現場に登場しています。これらの新薬は「軽度認知障害(MCI)から軽度認知症の極めて初期段階」にしか適応がありません。自宅での予習によって見かけ上の点数を取り繕う行為は、患者から最新の治療機会を永久に奪う行為に等しいと認識すべきです。