漫画の枠に収まらないファッショナブルで前衛的なポージングの背景には、作者・荒木飛呂彦氏の深い芸術的教養と観察眼が存在します。
荒木氏自身が公言している最大のインスピレーション源は、西洋の古典彫刻と海外のハイファッション誌です。イタリア・ルネサンス期の巨匠ミケランジェロによる『ダビデ像』や、バロック期の彫刻家ベルニーニの作品に見られる「コントラポスト(体重を片足に乗せることで生まれる左右非対称の美しい曲線美)」が、ジョジョ立ちの骨格的な基礎となっています。
さらに、1980年代から1990年代にかけての『VOGUE』や『Harper's BAZAAR』といったファッション誌のグラビア、ヴェルサーチェやモスキーノ、ジャンフランコ・フェレなどのスーパーモデルたちの前衛的なポージングが色濃く反映されています。手首を極端に曲げる、関節をあえて不自然な方向へねじる、遠近法を狂わせるようなダイナミックなアングルといった要素は、ハイブランドの広告写真が持つエレガンスと緊張感を漫画表現へ昇華させた結果生まれたものなのです。