腰痛に襲われた際、多くの人が真っ先に手を伸ばしがちなのが「市販の湿布」です。しかし、妊娠中の投薬・外用薬には命に関わる重大な盲点が潜んでいます。
最も注意を払うべきは、妊娠中の湿布・モーラステープ使用の可否です。処方薬であるモーラステープや、一部の市販湿布に含まれるケトプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、皮膚から毛細血管を通じて母体の血液中に吸収されます。これが胎盤を通過して胎児に到達すると、赤ちゃんの血管である動脈管を早期に収縮・閉鎖させてしまう「動脈管早期収縮」を引き起こし、胎児循環不全や新生児遷延性肺高血圧症などの深刻なリスクを招く恐れがあります。特に妊娠後期におけるケトプロフェン含有外用薬の使用は添付文書上でも禁忌と明記されています。冷感・温感問わず、自己判断で自宅にある湿布を貼る行為は絶対に避けてください。
痛みの緩和を希望する場合は、必ず妊婦健診の際に主治医へ相談し、アセトアミノフェン系の安全性が確認されている内服薬や、妊娠中でも使用可能な外用薬を処方してもらうのが鉄則です。
また、ネット上で散見される「腰を強く叩いてほぐす」「ボキボキ鳴らす整体に通う」といった民間療法も危険です。妊娠中の身体は靭帯が緩んでいるため、強引な外力を加えると関節の亜脱臼や炎症の長期化を招きます。マタニティ専門の資格を持たない一般的なマッサージ店でのうつ伏せ施術も避けるべきです。