スタジアムの空気が一変した。女子やり投決勝、最終6投目。それまで4位に沈んでいた北口榛花が助走に入ると、会場全体から手拍子が湧き起こる。放たれたやりは美しい軌道を描き、夜空の彼方、66メートル73のラインを越えて突き刺さった。
雄叫びと歓喜の涙。投てき種目において日本女子史上初となる世界一の座を射止めた瞬間だった。チェコを拠点に技術を磨き抜いてきた彼女が見せた底力は、まさに陸上競技の醍醐味そのものだ。日本陸上競技連盟にとっても、フィールド種目での金メダル獲得は長年の悲願であり、日本スポーツ史に新たな金字塔を打ち立てた。