皮膚は本来、外部の異物や細菌の侵入を徹底して防ぐ強固なバリア器官だ。表面を覆うわずか0.02ミリほどの角質層は、水や脂溶性の高分子化合物を容易には通さない。医薬品の分野で確立された経皮吸収型製剤・ヘルスケア産業の知見によれば、皮膚から毛細血管へと有効成分を届けるには「分子量500以下」「適度な脂溶性」という極めて狭き門をクリアしなければならない。
市販の貼付型サプリメントが謳うガルシニア、コレウスフォルスコリ、緑茶抽出物(EGCG)といった植物エキスは、分子構造が大きく複雑だ。特殊な送達技術を用いない限り、角質層を突破して皮下脂肪層や血中へ有効濃度で浸透する可能性は極めて低い。つまり、脂肪燃焼を促す成分が仮に含まれていたとしても、皮膚の表面にとどまっているに過ぎないケースがほとんどなのだ。
さらに見過ごせないのが皮膚局所の副作用リスクである。長時間の貼付や粘着剤による密閉によって、接触皮膚炎(かぶれ)、色素沈着、激しい痒みを訴える受診者が後を絶たない。特に海外製の強力な温感成分(カプサイシンなど)を含む製品では、化学熱傷に近い炎症を引き起こす事例も報告されており、「貼るだけだから安全」という認識は根本から覆されつつある。