これほどまでに知名度と実力を兼ね備えた姉妹であれば、メディアや制作側が「姉妹共演ドラマ」や「W主演」を乱発したくなるのが商業エンタメの常です。しかし、上白石姉妹の共演作は極めて抑制的であり、安易な話題作りに依存しないストイックな姿勢が貫かれています。
代表的な本格共演作として知られるのが、2018年公開の映画『羊と鋼の森』です。ピアノの調律をテーマにした本作で、二人は物語の鍵を握るピアニストの高校生姉妹(佐倉和音・由仁)を演じました。実生活でもピアノに親しんできた二人が、劇中でも姉妹役として連弾を披露したシーンは、映画史に残る美しさと評されました。
その他、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』やアニメ映画『未来のミライ』(2018年)などへの出演はあるものの、民放の連続ドラマ等で大々的に姉妹共演を果たすケースは極めて稀です。これには所属事務所である東宝芸能と本人たちの、「それぞれが一人の自立した俳優として評価されるべきである」という明確なブランディング戦略が存在します。姉妹という属性を消費させるのではなく、個々の芝居の実力で勝負させる徹底した方針が、結果として二人の息の長いキャリアを支えています。