クラシック音楽初心者が最も混同しやすいのが、「ノクターン(夜想曲)」と「セレナーデ(小夜曲 / 独: Ständchen)」の違いです。どちらも「夜」に関連する音楽ですが、その目的、シチュエーション、感情のベクトルは正反対と言っても過言ではありません。
決定的な違いは「対象が他者か、自分自身か」という点にあります。セレナーデは、夕暮れから夜にかけて男性が意中の女性の窓辺に出向き、愛を告白するために歌ったり演奏したりする「他者に向けた求愛の音楽」です。そのため、リズムは軽快で明るく、屋外で演奏されることを想定しています。
一方のノクターンは、深夜の私室などプライベートな空間で、暗闇や月の光を見つめながら自分自身の心の内側を見つめる「内省と瞑想の音楽」です。他者へのアピールではなく、孤独や哀愁、夜の神秘に浸るための独白(モノローグ)という性質を帯びています。