ソテーという言葉の語源は、フランス語の動詞「sauter(ソテ=跳ぶ、跳ねる)」にある。手首のスナップを利かせて鍋をあおり、食材を宙に躍らせる動作、あるいは高温の油脂を敷いた鍋底で食材の水分が弾け飛ぶ情景がその名の由来だ。
近代フランス料理の基礎を築き上げた伝説的料理人オーギュスト・エスコフィエは、厨房における熱の伝導を極めて論理的に体系化した。彼が残した膨大なルセット(調理法)のなかでも、ソテーは素材本来のジュ(肉汁)を閉じ込めるための不可欠な技法として位置づけられている。単に火を通すのではなく、強火と油脂のバリアによって表面を素早くコーティングし、内部のジューシーさを保ち続けることこそが、西洋料理におけるソテーの神髄である。