神田川俊郎氏は単なる一店舗のオーナーシェフにとどまらなかった。彼は全日本調理師協会の会長をはじめとする数々の要職を歴任し、調理師の育成と社会的地位の向上に人生の後半生を捧げた。
ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録された背景にも、彼のように先頭に立って日本料理の魅力を国内外に発信し続けた立役者の存在がある。若手育成のための全国大会を開催し、料理人たちが誇りを持って働ける環境を整えることに尽力した。自らの店だけでなく、業界全体を俯瞰して育て上げる視野の広さこそ、彼が「巨匠」と称される最大の所以だろう。