「夜しっかりブローして寝たはずなのに、朝起きるとサイドが爆発している」という現象には、睡眠中の物理的摩擦と、毛髪内部の化学結合が深く関わっています。髪の形状を決定づける要素の一つに「水素結合」があります。髪は濡れると結合が切れ、乾く瞬間に固定される性質を持っていますが、夜のドライヤーが不十分で内側や根元に湿り気が残っていると、就寝中の枕との摩擦や体温によって歪んだ形のまま再結合してしまいます。これが朝の横広がりの第1の原因です。
さらに見逃せないのが、髪のパサつき乾燥ケア方法の不備による毛髪内部の水分偏差です。日本人の髪に多いくせ毛は、水分を吸いやすい「オルトコルテックス」と水分を吸いにくい「パラコルテックス」という2種類のタンパク質が偏って不均一に分布しています。毛髪が乾燥してキューティクルが剥がれると、空気中の湿気を吸った部分だけが不均等に膨張し、結果として髪全体が外側へ押し出されるように横へ膨らんでしまうのです。
毛髪関連学会の報告やサロン現場の実測値でも、横広がりに悩む人の8割以上が「毛先の乾燥ダメージ」と「根元の生え癖の放置」を併発していることが確認されています。つまり、毛量そのものを力任せに押さえ込もうとするアプローチは、構造的に見ても的外れと言わざるを得ません。