運航を手がける株式会社ユニバーサルワーカーズの取り組みの核心には、歴史の記憶をいかに次世代へ手渡すかという切実な問いがある。同社で理事を務め、元島民として語り部活動を続ける坂本道徳氏の言葉は、島を訪れた人々の心に深く突き刺さる。「ここは単なる廃墟のテーマパークではない。多くの人々が生きて、笑い、汗を流した生活の場だった」と坂本氏は語る。
島内でも特に注目を集めるのが、1916年(大正5年)に建てられた日本最古の7階建て鉄筋コンクリート造集合住宅「30号棟」だ。潮風と台風の打撃を受け続け、躯体の崩壊が刻一刻と進行している。いつ形を失ってもおかしくない緊張感の中で、その姿を眼裏に焼き付け、記録し続けることの価値は計り知れない。