『恋をとめないで』の歌詞世界は、ストレートでありながら極めて計算された情景描写と心理描写で構成されています。冒頭から描かれるのは、週末の夜に募る抑えきれない衝動と、相手への一直線な渇望です。当時の若者文化を象徴する言葉が散りばめられつつも、根底に流れる「理屈を捨てて飛び込め」というメッセージは、時代や年齢を問わず聴く者の背中を強く押します。
特にリスナーの心を掴んで離さないのが、「土曜の夜さ 連れ出してあげる」「ダイヤル回して 手を止めた」という一連のフレーズです。固定電話の黒電話やプッシュホンが主流だった時代ならではの「ためらいの数秒間」が、恋に臆病になりかける心理を鮮やかに切り取っています。吉川晃司自身の作詞エピソードによると、当時20代前半の彼が持っていた鋭利な感性と、男の色気・不器用さがリアルに投影された結果、飾らない男のロマンティシズムが完成したと伝えられています。
サビで繰り返される「Don't Stop My Love」と「恋をとめないで」のフレーズは、他人の目や世間の常識に囚われず、自らの感情に正直であれという強い肯定です。この潔いメッセージ性こそが、カラオケの定番曲として、また人生の応援歌として歌い継がれる最大の要因といえます。