SNSや料理コミュニティの投稿を検証すると、「塩漬け山椒を使ったら料理がしょっぱくなりすぎた」「塩抜きをしたら香りが完全に抜けて水っぽくなった」という失敗談が後を絶ちません。伝統的な保存食としての塩分と、現代の減塩志向や軽やかな味付けとの間でギャップが生じているのが現状です。
現場の料理人たちが実践している正しい実山椒塩抜き方法は、長時間たっぷりの真水に漬け込むことではありません。水に長時間浸すと、山椒の精油成分が失われて食感もフニャフニャになってしまいます。推奨されるのは、「1〜2%の薄いぬるま湯(呼び塩)」に15〜30分程度浸す方法です。
浸透圧の差を利用して適度に塩分を排出しつつ、内部の香味成分を留めることができます。また、肉料理のソテーやパスタのアクセントにする場合は、あらかじめ「塩抜きを一切せず」、料理全体の塩分を実山椒の塩気だけでまかなう手法が最も香り高く仕上がります。調味料として山椒の塩分を計算に入れる意識を持つことが、失敗を回避するプロのアプローチです。