しじみの砂抜きで失敗する最大の要因は、貝が本来生息している環境や生体反応を無視した下処理を行ってしまうことにあります。料理現場や一般家庭の検証データから見えてきた、代表的な失敗原因は以下の3点です。
第1の原因は、「真水で浸けてしまうこと」です。日本で流通している食用しじみの大部分は汽水域(海水と淡水が混ざり合う場所)に生息する「ヤマトシジミ」です。完全な真水に入れると、浸透圧の違いからストレスを感じて殻を固く閉ざしてしまい、十分に呼吸や吸排水を行わなくなります。その結果、内部に抱え込んだ砂を吐き出せないまま調理に至ってしまいます。
第2の原因は、「水の量が多すぎて酸欠になること」です。しじみを深めのボウルに入れ、たっぷりの水に完全に沈めてしまうと、容器内の溶存酸素が短時間で欠乏します。呼吸困難に陥ったしじみは活動を停止し、砂出しが止まるだけでなく、最悪の場合は死んでしまいます。
第3の原因は、「吐き出した砂を再び吸い込んでしまうこと」です。底が平らなボウルにしじみを直置きすると、吐き出された砂が底に溜まり、呼吸口から再度吸い込まれてしまいます。「何時間も浸けたのに砂が残っていた」というケースの多くは、この再吸入が引き起こしています。