G.I編最大のハイライトといえば、間違いなく体育館で行われた「8対8の変則ドッジボール対決」です。ゴン、キルア、ビスケに加え、まさかの共闘を果たしたヒソカ、そしてツェズゲラ組のハンターたちが一丸となってレイザーに挑みました。
この戦いで読者を震撼させたのは、レイザーが放つボールの一撃一撃が持つ殺傷力です。手加減を一切排除し、真正面から叩き込まれるスパイクは、並のプロハンターであれば肉体を消滅させかねない破壊力を秘めていました。ゴレムやボポボといった屈強な仲間たちを瞬時に統率し、ルールという制約の中で対戦相手を精神的にも肉体的にも追い詰めていきます。
しかし、この死闘の真髄はバイオレンスではなく、「命と信頼のやり取り」にありました。ゴンは自らの全力投球を成立させるため、砲台役としてキルアにボールを支えさせます。キルアの両手はオーラの反動でズタズタになりながらも、親友の信頼に応えるため決して手を離しませんでした。さらに、アウトゾーンから放たれたボールをキャッチしたヒソカが、伸縮自在の愛(バンジーガム)で球を絡め取り、勝利を手繰り寄せます。
この光景を目の当たりにしたレイザーの胸裏に去来したのは、かつてジンと過ごした日々と自らの人生でした。コート上でレイザーが心の中で呟いた「ジン…お前の息子は強いぜ」という独白は、過酷な試練を乗り越えたゴンへの賛辞であると同時に、自分を闇から救い出してくれた盟友ジンへの最高の報告でもありました。
また、試合後にゴンへ語りかけた「友達を大切にな」という言葉や、過去を述懐しながら見せた穏やかな微笑みは、読者に強烈なカタルシスを与えました。単なる障害としてのボスではなく、父親の足跡を追う少年の成長を促す「厳格にして温かい壁」として振る舞ったレイザーの名言は、物語全体のテーマを象徴する重要なマイルストーンとなっています。