「自宅のスタンド上では会心の出来栄えだったのに、会場の更衣室でキャリーケースを開けたら無残に潰れていた」――これは全国の大型コスプレイベントの現場で毎度のように耳にする悲鳴です。手間暇をかけて構築した立体構造を維持するためには、移動時のパッキング設計がスタイリングそのものと同等に重要です。
大型の立ち上げや毛束を作ったウィッグを現場へ運ぶ際、ウィッグが崩れない持ち運びを実現する最も確実な手法は、発泡スチロール製のマネキンヘッドにウィッグをマチ針で4箇所以上固定し、それを底板を補強した深型の段ボール箱やプラスチックケース内に粘着テープ等で完全固定して運搬する方法です。もしキャリーケース内に収納せざるを得ない場合は、丸めた薄紙(インナーペーパー)をウィッグの内側に隙間なく詰め込み、毛先が折れ曲がらないよう不織布でふんわりと包み込んだ上で、ケースの最上段に配置してください。
また、過酷な撮影を終えた後のコスプレウィッグの正しい洗い方とお手入れが、ウィッグの寿命を決定づけます。ハードスプレーやボンドで固めたウィッグをいきなりシャンプーで力任せに洗うと、ファイバーが絡まり合って二度と解けないダマになります。まずはぬるま湯(30〜35℃程度)に市販の柔軟剤(シリコン配合のもの)を多めに溶かし、ウィッグを20〜30分ほど浸け置きしてください。柔軟剤の成分がスプレーの樹脂をふやけさせ、指通りを劇的に回復させます。その後、おしゃれ着用の中性洗剤で優しく押し洗いし、タオルドライ後に日陰で自然乾燥させます。半乾きの状態でオイルベースのウィッグ専用スプレーを塗布しながら毛先から優しく梳かすことで、次回以降も新品同様のしなやかさを維持することが可能です。