かつての天真爛漫な姿を覚えている人ほど、現在の前田航基が放つ「芝居の奥行き」に驚かされるはずです。所属事務所である松竹エンタテインメントの公式サイトや直近の出演クレジットを見れば明らかなように、彼は単なる「元有名子役」の枠を完全に飛び越えています。
転機となったのは、NHK連続テレビ小説『おちょやん』での松島寛治役でした。劇団員として主人公の養子のような立場となり、戦争の過酷さに翻弄されながらもたくましく生きる青年を熱演。コミカルな掛け合いから涙を誘うシリアスな慟哭まで、喜劇と悲劇が表裏一体となった難役を完璧に演じ切り、ドラマ批評家や視聴者から絶賛を集めました。その後も『おかえりモネ』や数々の現代劇、骨太な映画作品にキャスティングされ続けています。
舞台関係者の証言によると、「前田さんは台本の読解力がずば抜けて高く、演出家の細かな指示に対して即座に別のアプローチを提示できる柔軟性がある」と評されています。ぽっちゃりとした親しみやすい風貌は残しつつも、鋭い眼光や哀愁を漂わせる佇まいは、現在の日本映像界において唯一無二のポジションを獲得している証拠です。