東急目黒線の武蔵小山駅から徒歩数分。活気あふれる巨大なアーケード街「武蔵小山商店街パルム」の賑わいを抜け、静かな住宅街へと歩みを進めると、突如として端正な門構えが現れる。木々の緑に囲まれたエントランスは、まるで信州や伊豆の隠れ宿を訪れたかのような錯覚を抱かせる。
暖簾を分けると、そこにあるのは清潔そのもののロビーと、どこか懐かしい番台の笑顔だ。下駄箱の木札を手に取り、脱衣場へと進む。ガラス戸の向こうには、湯煙に霞む広々とした浴室が待っている。都会のど真ん中にありながら、ここにはゆったりとした時間の流れが存在する。日々のタスクに追われる現代人にとって、衣服を脱ぎ捨てて素肌で湯と対峙するこの瞬間こそが、何物にも代えがたい贅沢と言えるだろう。