富山湾は「天然の生簀(いけす)」と称される。沿岸から急激に深くなる独特の海底地形と、立山連峰から注ぎ込む豊かな養分が、多種多様な魚介類を育むからだ。その最前線に位置するのが氷見漁港である。早朝、氷見市漁業協同組合の水揚げ場には、脂の乗った旬の魚が次々と運ばれてくる。活気あふれるセリの歓声は、まさに地域の水産業が脈打つ音そのものだ。
その活気をダイレクトに体感できる場こそが、漁港の目と鼻の先にある飲食・物販施設群だ。番屋と呼ばれる木造風の建物が建ち並び、水揚げされたばかりの「きときと(富山弁で新鮮)」な魚が店頭にずらりと並ぶ。市場特有の活気と職人の威勢の良い掛け声が飛び交う空間は、訪れる者の食欲を否応なしに刺激する。