北斎はなぜ小布施へ?晩年の真相と八方睨み鳳凰図の謎を暴く

北斎はなぜ小布施へ?晩年の真相と八方睨み鳳凰図の謎を暴く

北斎はなぜ小布施へ?晩年の真相と八方睨み鳳凰図の謎を暴くの具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

小布施滞在期に遺された作品群の中でも、双璧をなす傑作が岩松院(がんしょういん)の天井絵と、北斎館に保存されている祭屋台の天井絵です。

小布施町の東部に位置する曹洞宗の古刹・岩松院の本堂には、北斎が88歳から89歳にかけて描き上げた晩年最大の超大作『八方睨み鳳凰図(はっぽうにらみほうおうず)』が鎮座しています。広さ21畳敷(約6.3m×5.5m)の大画面に描かれた極彩色の鳳凰は、堂内のどこから見上げても鋭い眼光で自分を睨み返してくるかのような錯覚を与えます。

驚くべきは、完成から170年以上を経た現在に至るまで、一度の修復や塗り直しも施されていない点です。高井鴻山が調達した最高級の天然岩絵の具と金箔がふんだんに用いられているため、今なお褪せることのない鮮烈な色彩と迫力を放ち続けています。

一方、市街地中心部の「北斎館」で常設展示されている2基の祭屋台天井絵も見逃せません。上町(かんまち)祭屋台に描かれた『怒涛図(男浪・女浪)』は、渦巻く波濤の激しい躍動感と緻密な幾何学的構成が融合した肉筆画の極致です。『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』で確立した波の表現をさらに深化させ、荒れ狂う水流のエネルギーを漆黒と藍の対比で見事に描き切っています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。