同社の原点を辿ると、大阪大学医学部の研究成果を社会に還元するという高潔な理念に行き着く。創業者の森下竜一寄附講座教授が掲げた「遺伝子治療による難病克服」の構想は、当時の国内シーンにおいてまさに革新的だった。大学の研究室から生まれたシーズが、いかにして実用化への険しい道を歩んできたか。その軌跡は日本のバイオベンチャーにおけるフロンティアスピリットそのものである。
しかし、革新的なアイデアと事業化の成功の間には、底知れぬ谷が存在する。アカデミア主導の研究開発が抱えるスピード感の課題や、臨床開発におけるハードルの高さは、常に同社の成長に影を落としてきた。創業者たる森下氏の力強い発信力と描くビジョンが投資家を惹きつける一方で、市場からの厳しい実現可能性への疑念を払拭しきれないジレンマが、長年にわたり繰り返されてきたのだ。