SNSやネット掲示板(5ちゃんねる、知恵袋など)では、毎年進学や就職の春を迎えるたびに、方言漢字にまつわる悲喜こもごもの投稿が飛び交います。当事者たちの生の声を取材・検証すると、長年親しんできた文字が実は「超ローカルな存在」だったと知った時の衝撃がリアルに伝わってきます。
「大学進学で東京に出てきて、アパートの契約書に実家の住所(名古屋市内の杁中周辺)を書いたら、不動産屋の担当者から『すみません、この木へんに角のような文字は何と読むのですか?漢字が間違っていませんか?』と真顔で聞かれた。生まれてから20年、これが全国共通の漢字ではないと初めて知って背筋が凍った」(愛知県出身・20代男性の投稿より)
「ネット通販やクレジットカードの登録で、苗字の『萢』がシステムエラーで弾かれるのが日常茶飯事。『名義に使用できない文字が含まれています』と表示されるたびに、自分のルーツを否定されたようなやるせない気持ちになる。結局、ひらがな表記か類似の漢字で妥協せざるを得ない」(青森県出身・30代女性の投稿より)
一方で、近年では地域愛や地元アイデンティティの象徴として方言漢字を誇らしく捉える潮流も強まっています。X(旧Twitter)では「#地元民しか読めない駅名選手権」などのハッシュタグで定期的に盛り上がりを見せ、「愛知の杁」「播磨の鵤」「津軽の萢」は、他県民に対する一種の知的ハードル、ご当地自慢のキラーコンテンツとして若年層の間でも面白がられる現象が定着しています。