裏バイトに応募した人々が最も恐怖を感じるのが、応募時に提出させられた免許証、学生証、マイナンバーカードなどの裏バイトによる個人情報の悪用と、それに伴う「逃亡禁止」「家族への危害」の宣告です。シグナル(Signal)やテレグラム(Telegram)などの秘匿性の高い通信アプリを通じて送られてくるメッセージは、映画や暴力団の取り立てを彷彿とさせる過激な文言で埋め尽くされています。
しかし、近年の警察庁による裏バイトの実態に関するニュースや摘発事案の分析によると、指示役が実際に実行役の自宅や実家に報復部隊を送り込むケースは極めて稀です。闇バイトの報復が嘘であると言い切れる背景には、犯罪組織特有の構造的な理由が存在します。
指示役の目的はあくまで「完全なリスクゼロで金品を回収すること」にあります。逃げ出した使い捨ての実行役一人に対して報復の人手を割くことは、組織にとって警察の捜査網に引っかかる最大のリスクとなり、経済的にも全く割に合いません。指示役は自ら手を汚す勇気を持たず、海外の拠点や遠隔地から定型文の脅迫テキストをコピペして送信しているに過ぎないのが闇バイト指示役の正体です。
もちろん、個人情報が組織のデータベースに記録され、迷惑電話や別の詐欺名簿として転売されるリスクは残ります。しかし、「逃げたら家族が殺される」という闇バイトにおける家族への危害の真相は、恐怖で判断力を奪い、逮捕されるまで犯罪行為を強制させるための手口に過ぎません。