佐々木つとむ氏の経歴と経緯を振り返ると、その芸人としての才能は同業者からも「天才」と称賛されるほど突出していました。1970年代から頭角を現した彼は、はたけんじ氏、団しん也氏、堺すすむ氏らとともに元祖ものまね四天王と呼ばれ、第1次ものまねブームの中心人物として君臨します。
彼の真骨頂は、映画『男はつらいよ』の車寅次郎(渥美清氏)の語り口や、高倉健氏の重厚な声、さらには当時の政界のドン・田中角栄元首相などの形態模写でした。単なる声の物真似にとどまらず、対象の仕草や人間味あふれるニュアンスまで完璧にコピーする芸風は、視聴者のみならず芸能界の大物たちからも絶大な評価を得ていました。
テレビ番組のレギュラーや営業ステージに引っ張りだこで、全盛期の収入は一般的なサラリーマンの生涯年収を数年で稼ぎ出すほどだったと言われています。しかし、その輝かしい才能と高収入が、皮肉にも彼を破滅の道へと引きずり込む元凶となってしまいました。