なぜ、複数ある車線の一番右側を走り続けてはいけないのか。その根拠となるのが道路交通法第20条(車両通行の区分)です。同条文では、車両は車両通行帯が設けられた道路において、原則として「道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」と定めています。片側2車線であれば左側の第1通行帯、片側3車線であれば第1通行帯または第2通行帯を走行するのが鉄則です。
法律上、最も右側に位置する車両通行帯は、原則として「追越し」または「右折」などの特定の目的のためにのみ通行が認められている空間です。したがって、先行車がいないにもかかわらず一番右側の通行帯を巡航し続ける行為は、明確な追越車線の走行ルール違反、すなわち「車両通行帯違反」に該当します。
日本の交通法規を貫く大前提として、キープレフトの原則が存在します。これは単に道路の左寄りを走るという道徳的なマナーではなく、車両ごとの速度差を吸収し、緊急車両の円滑な通行を確保し、かつ追越車線を常にクリアに保つことで全体の交通流を最適化するための工学的な安全基準です。「制限速度の上限で走っているから、右側を走り続けても誰にも文句は言われないはずだ」という論理は法的に完全に破綻しており、どれほど法定速度を遵守していようとも、走行車線が空いている状況で右車線に居座り続けることは違法と判断されます。