何もないはずの喉に、なぜこれほど強烈な異物感が生まれるのか。咽喉頭異常感症の原因は、単一の要素ではなく「神経系の知覚過敏」「局所の筋肉の痙攣」「微小な化学的刺激」が複雑に絡み合って生じます。
喉の奥に位置する下咽頭から食道入口部にかけては、輪状咽頭筋という筋肉が弁のように働いています。通常は無意識に開閉を繰り返していますが、精神的な緊張や過労が重なると、交感神経が優位になり筋肉が異常収縮を起こします。これがいわゆる喉のつまりとストレスの直結メカニズムです。自律神経の乱れは咽頭粘膜の血流を低下させ、知覚神経(舌咽神経・迷走神経)を過敏化させるため、微小な刺激でも「異物がある」と脳が誤認してしまいます。
さらに近年、臨床現場で急増しているのが咽喉頭酸逆流症(LPRD)です。胃カメラで明らかな食道粘膜のびらんが確認できない軽症の逆流性食道炎でも喉の違和感を生じさせます。食道と異なり、咽頭粘膜は強酸に対する防御壁を持たないため、微量の胃酸やペプシンがガス状に上がってくるだけでも激しい神経刺激を受け、粘膜浮腫や防御反応としての筋緊張を引き起こすのです。