伝統芸能の象徴である東京・銀座の歌舞伎座。その楽屋裏やロビーで目撃される彼女の姿は、徹底したプロフェッショナルそのものだ。開演前には贔屓筋の元へ足を運び、丁寧なお辞儀と心のこもった対話で挨拶を交わす。客席の空気感や贔屓の反応を素早く察知し、夫や息子たちのサポートに全力を注ぐ。
さらに、興行を取り仕切る松竹株式会社のスタッフや劇場関係者からの信頼もきわめて厚い。伝統を守りながらも興行としての成功を収めるためには、裏方の円滑なコミュニケーションが不可欠だ。彼女は芸能界で培ったプロ意識と、梨園の女将としての気配りを見事に融合させ、劇場全体を温かい空気で包み込む潤滑油の役割を果たしている。