駅の現場を定点観測すると、窓口の前にできる行列の内訳は時期によって大きく異なります。特に4月上旬の年度初めには、新入学の高校生・大学生とその保護者が集中し、駅のコンコースを分断するほどの列が形成されます。
「新入生の通学定期券を買うためだけに、平日の夕方に2時間並びました。学校から発行された通学証明書を確認してもらわなければ買えないと言われ、券売機ではどうにもならなかった」と語るのは、都内の駅で列に並んでいた男子高校生の母親です。長年、通学定期券の新規購入は「窓口で係員が通学証明書の原本と学生証を目視確認する」という厳格なルールが敷かれていたため、これが春先のボトルネックとなっていました。
現場の駅員にとっても、窓口削減のプレッシャーは過酷を極めました。取材に応じたJR東日本の元駅員は次のように明かします。「閉鎖された近隣の駅から流れてきたお客様が、すでに1時間以上待たされてイライラした状態で窓口に来られる。複雑な乗り継ぎの相談や、慣れない機械の不満をぶつけられることも多く、窓口1件あたりの応対時間が従来の倍近くに伸びるという悪循環が起きていました」。
さらに現場を混乱させているのが、訪日観光客の急増です。インバウンド向けの各種レールパスは偽造防止や本人確認のため、パスポートの機械読み取りや複雑な旅程の指定券発行が必要となります。1組の対応に15分から20分を要することも珍しくなく、これが一般客の待機列を麻痺させる大きな要因となっていました。