大倉陶園の卓越した技術力は、国家の重要な外交舞台でも不可欠な役割を果たしてきた。とりわけ宮内庁御用達としての栄誉は、その品質の揺るぎなさを物語る何よりの証拠だ。皇室の慶事や晩餐会で用いられる御器物の数々は、日本の格式と美意識を海外の要人に示す象徴として選ばれ続けている。
歴史的な転換点となったのが、昭和の大改修に伴う迎賓館赤坂離宮ディナーセット計画だ。国賓をもてなすための正餐用ディナーセットの製作を依頼された大倉陶園は、日本の伝統意匠と西洋の機能美を融合させた前代未聞のフルセットを納入した。妥協を許さない寸法精度、光を受けて輝くエンボス加工、そして凛とした白。日本の伝統工芸品が持つ精緻さと洋食器としての品格が最高潮で結実した瞬間だった。